築年数が長ければ長いほど価値が上がる海外。日本もいずれそうなるのか?

海外から見た日本の住宅事情

海外と日本の価値観の違いを知るのはとても大切なことです。
日本で当たり前だと思っていたことが海外ではおかしなことだった、ということはよくあることだと思います。

では、住宅の価値についてはどうでしょうか?

住宅を資産としてみるのは海外でも日本でも共通です。
しかし、どんな基準をもって資産価値を決めるかということについては違いがあります。

海外の投資家から見ると日本の住宅に対する価値観は「変わっている」と映るようです。
その一例として、日本は新築の住宅に対しては高価な値段を付ける一方で、中古の住宅はあまり価値が高くないと見積もる傾向があることです。

わたしたち日本人からすれば、新しい住宅であればあるほど価値が高くなるのは当然のことのはずです。
しかし、海外の人たちから見るとそうではありません。

たとえば築20年の住宅が安価で売り出されているのを見て、海外の方は驚きます。
「日本人は古い住宅を大切にしないのか?」と。

彼らは古い住宅であればあるほど価値が高いと見るのです。

海外では古い住宅の方が価値がある

日本で築100年を超える住宅が売りに出されるというのは極めて珍しいでしょう。
それだけの年数が経っていれば、仮に格安で売り出されていたとしても購入するのをためらってしまう人がほとんどだからです。

しかし、海外ではそうした住宅が売りに出されることは珍しくありません。
それどころか築200年の住宅が売りに出されることもあり、古い住宅にブランド価値を見出しているのです。

日本の投資家もこうした傾向に目を付けて、海外の古い住宅を購入しておき、年数が経ってもっと価値が上がるのを待つという人もいます。

それにしても、なぜ海外と日本ではこのような価値観の違いが生まれているのでしょうか?

なぜ新築か中古かで違いが出る?

まず根本的に日本と海外では住宅の建て方に違いがあるということを抑えておかなくてはいけません。

日本の住宅はこれまでほとんど木造で建てられてきました。
最近ではコンクリートや鉄筋を使った住宅も建てられていますが、依然として木を使った住宅は多く建てられています。
木造の住宅はコンクリートや鉄を使って建てられた住宅と比べて、耐用年数が短いという特徴があります。
それゆえ、古くからの住宅は安定性の面で新しい住宅と比べて危険が残るのです。

一方、海外で主流の建築は石造住宅でした。
石を積み上げて住宅を作るため、木造と違って耐用年数が長いのが特徴です。
ですから築年数が長いものでも新築のものと比べて安全性も劣りません。
だからこそ中古住宅の価値が高くなりやすいのです。

日本ならではの事情

また、日本ならではの特殊な地理も頭に入れておかなければなりません。

海外に比べて日本は極めて地震の多い国として有名です。
震度の高い地震が頻繁に来る国で安全性の低い住宅に住むのは非常に危険な選択です。
耐震性も年数が経てば経つほど衰えていくでしょう。

それだけでなく日本では政府が耐震性に優れた住宅を建てるよう基準を設けてもいます。
耐震性に優れた建築方法を編み出すのはそれなりに時間がかかることです。
リフォームなどで補っていく方法もありますが、やはり新築にして最新技術を導入した方がより安全な住宅を建てられるようになるでしょう。

またそれだけでなく、日本はそこまで国土が広くないということが挙げられます。
土地が少ないためにたくさんの住宅を建てることができませんから、その都度その都度古い住宅は取り壊さなくてはなりません。

こうした事情があるからこそ日本では新築が重視されているのです。

日本にも中古住宅が当たり前の時代がやって来る

日本特有の事情もあり、まだまだ新築住宅が主流の日本ですが、こうした新築を重視する傾向はこれから変わっていくかもしれません。

景気が良かったころは「新築住宅を建てれば建てるだけ経済が回っていくから良い」という価値観のもとで多くの住宅が売りに出されていました。
しかし、最近では景気が良くないこともあって新築住宅が売れにくくなっています。
それに伴って売りそびれた住宅が余ってしまうという現象も起きてしまっているのです。

その一例として挙げられるのが、最近話題になっている空き家問題です。
誰もが新しい住宅を重視するために古い住宅が取り残されてしまうからこそ、空き家が生まれてしまいます。

これから先、普通の一軒家だけではなく、大きめの一軒家やマンションが建っているにもかかわらず、誰も住んでいないということさえ起こりうるのです。
こうした事態を受けて日本政府も対応を迫られるようになってきました。

中古住宅市場を開拓する必要が出てきたのです。

これからは中古住宅の価値も上がっていく?

日本ではこれまで1年あたり100万戸近くの新築住宅が建てられていました。
しかし、今では建築技術の向上によって長年住んでも安全性が損なわれない住宅が建てられるようになってきていて、先ほど挙げた耐震性の問題も年々クリアされつつあります。

今建てられている住宅のほとんどは、長年住んでいても大きな地震に耐えられるような構造になっています。
それゆえ将来的には新築住宅を着工する必要性はなくなっていき、新築住宅の建設は1年あたり60万戸前後に減っていくのではないか、という予測もされています。

では、人々はどんな住宅に住むようになっていくのか。

そこで出てくるのが中古住宅です。

日本の既存住宅流通のシェア率は15%にも届きません。
この数字は世界的に見れば極めて低く、アメリカでは80%を超えています。

政府はこうした傾向を改善しようと努力しており、リフォームに対する減税制度を設けるなど既存住宅をリフォームする人を優遇するための政策を打ち出したのもそのひとつといえるでしょう。また、中古住宅を買う人のための優遇政策も合わせて打ち出されています。

こうした政策が今後も続いていけば、海外ほどでないにせよ築年数の長い住宅の価値が高くなるかもしれません。
やがて投資家も方針を変えて、新築ではなく中古を買った方が得になる、という時代がくるでしょう。

まとめ

日本には古いものをすぐに捨てるのではなく、「もったいない」と思って取っておく文化があります。最近の中古住宅の見直しは、こうした日本ならではの文化に立ち返る流れといえるかもしれません。新築の真新しい建物がたくさん並んでいる風景もいいですが、昔ながらの住宅がたくさん建っている風景もまたいいのではないでしょうか。

こうした流れが日本の社会をより良くしていくことを期待していきましょう。

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