ホームインスペクション市場の動向。認知率をあげて、安心できる住宅購入を!

ホームインスペクションとは

ホームインスペクションとは住宅の売買などにあたって、耐震基準を満たしているかや、土台や屋根や柱などの基本構造や軒や窓などの雨風をしのぐ部分、給排水設備などの家を維持していくうえで重要となる部分に不具合がないかを調べる、いわゆる住宅の健康診断のことを言います。

実施するのは建築や設計の専門家である建築資格を持った者が多く、不具合があるから売買に向かないと単純に判断するのではなく、不具合や老朽化した部分を売主に対して修繕するように求めたり、対策を提案してくれたりもします。

また、中古住宅に関しては、現在の老朽化度合いや状態を知ることで、今後、どのくらいの時期にどのようなメンテナンスやリフォームの必要があり、費用がどのくらいかかるのかといったアドバイスを受けることもできます。

近年人気を集めている中古住宅の購入にあたって

自由設計ができる注文住宅や最新設備の整った新築マンションをマイホームにしたいと考える方がいる一方で、近年は中古住宅にもニーズが高まってきています。

若い層や子育て世代にも人気があり、新築より安い手頃な価格で購入ができるので、身の丈に合って買いやすいと注目を集めているのです。
また購入価格を抑えて、リフォームやリノベーションに費用や時間をかけて自分たちの好きな間取りに変更する。といったスタイルが人気です。

ですが、そこで問題となるのが中古住宅の品質です。

中古住宅というのは戸建てであれ、マンションであれ、世界にたった1つしか存在しません。

仮に同じ時期に同じ設計や同じ資材、装備で建てた建売住宅や、間取りも全て同じマンションの1住戸であって、築年数も同じであっても、使用状況や手入れの状態、置かれている環境などによって老朽化の度合いは異なります。

新築時には完成度の高い住宅だったとしても、今の状況は分かりません。

そこで、今の時点でどのくらいの品質を保てているのか確認する作業がホームインスペクションなのです。

購入の判断材料やリフォームの参考にできる

気に入った中古住宅を見つけた時、購入を決める前にホームインスペクションを実施すれば、購入するか否かの判断ができるようになります。

たとえば、「あと20年くらい住みたい」と考えている時に、「この住宅は10年内に取り壊さないといけないくらい老朽化が進んでいる」と言われれば、やはり別のところを探そうと判断ができます。また、「耐震基準は満たしている」「外壁塗装は5年後くらいに実施した方がいい」「床は早めのリフォームがおすすめ」などアドバイスがもらえれば、リフォーム計画や資金計画も立てやすくなるでしょう。

しかし、細かくリフォーム記録をつけている売主は稀で、「数年前にやった気がする」「確か5年くらい前に外壁塗装をしたと思う」など記憶が曖昧な方も多いのです。

何度か所有者が変わっていたり、途中で賃貸に出されていたりすれば、使用状況やメンテナンス状況も大きく差が出てしまいます。

そのため、今の時点での劣化状況やリフォームの必要性を確かめられるホームインスペクションは非常に便利なのです。

ホームインスペクションはまだまだ普及していない

このように買主にとってメリットも高いホームインスペクションですが、実はまだあまり普及しておらず、市場規模は必ずしも大きくありません。

中古住宅を購入しようと考えている方の中でも、この制度を知っている人はかなり少ないのではないでしょうか。

しかも、費用がかかり、時間もかかるとなれば、利用しないという選択をとってしまう人がほとんどです。

中古住宅を売りたい売主は自分の住宅に問題ないことを強調しますし、一緒に内覧に行った不動産会社も売買契約を成立させて手数料を得たいので、不具合を指摘するようなことはほぼありません。

「問題ない」「いい状態ですね」というのが常套句となっています。

買主は大半が素人なので、見た目だけでは劣化の状態も分かりにくく、売主や不動産会社の説明を信頼して購入します。そのため、「住んで直ぐにトラブルが出た」「瑕疵を見つけた」「説明と違っていた」とトラブルになるケースも数多く存在します。

ホームインスペクションを行うのは誰なのか

媒介契約締結後でもホームインスペクションを実施できれば、こうしたリスクは軽減できますが、費用がかかると分かると二の足を踏んでしまう買主がほとんどです。

一般的な相場は5万円~8万円、プラスアルファの検査を頼んで10万円~15万円程が主流です。

なるべく費用を抑えたいからと中古住宅を検討している段階で、その他にこれだけの費用が必要となると、ためらってしまう気持ちがあるのもわかります。

最近は売主や不動産会社が費用を出して行い、安心の住宅だから買ってくださいとアピールする例も少しずつ増えていますが、買主以外が主体となるホームインスペクションは信用性、信頼性がかけてしまいますので、費用をかけてでも買主が主体となって行うのがおすすめです。

いかにインスペクターの中立、公正な立場を貫くことが求められても、売主や不動産会社主体で行ってしまうと悪いところが隠されてしまう可能性があるのです。

ホームインスペクションの需要を増やすには

海外ではホームインスペクションは活発に行われており、これからの需要を見越して参入してくる業者も増えてきています。

ですが、日本ではまだまだ認知度が低いのが現状です。そのため、不動産業者などに紹介されたインスペクターに依頼をするしかなく、どうしても売主主体のホームインスペクションになってしまい、結果報告書も売主目線になってしまいがちです。

これでは、中古住宅を買いたい人たちの信用は得られません。

結果的に中古住宅購入の判断材料やリフォーム計画を立てるために利用できている人は、今のところほとんどいないというのが現実です。

需要を増やしていくには認知度を高め、専門業者が買主主導のホームインスペクションの実績を増やし、検査の信頼性や信用性を高めていくことがカギとなってくるのではないでしょうか。

新築住宅でも潜在ニーズはある

この点、最初からあるべき設備や耐震性を満たしていなかったマンションなどの問題が増えている中で、新築の建売住宅やマンションにおいても、ホームインスペクションの潜在ニーズが増えています。

こうした需要も取り込み、認知度と信頼性、信用性を高めていくことが、市場規模拡大へと繋がっていくことでしょう。

まとめ

近年の構造計算偽装問題や予定されていた耐震設備などが設置されてなかったなど問題が増えている中、中古住宅や建売住宅などの購入に不安を感じる人も増えてきました。

そのを払拭するために必要不可欠なのがホームインスペクションです。

売主や不動産会社主体で行うより、費用をかけてでも買主主体で行うことで、公正で納得のいく検査ができます。

専門業者の信頼性を高め、実績を増やしていくことで市場規模拡大が期待できるでしょう。

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