これからのリフォーム市場規模予測!!日本の少子高齢化はどんな影響が?

日本では少子高齢化による人口減少が深刻化しており、空き家が増え続けています。

政府の予測によれば、2023年には空き家が全国で1293万戸にも達するといわれており総住宅戸数の19.4%、5件歩けば1件は空き家の時代となってしまいます。

空き家が増加するにつれ問題視されるのが、管理不備や放置による防災、防犯面の悪化です。
管理が行き届かないまま老朽化が進み倒壊のリスクが高まったり、地震など災害の際に倒れてしまうなど、周辺の住人を巻き込んでしまう恐れもあります。

また、放火されて地域に類焼してしまうリスクや、ホームレスや犯罪集団のアジトになって治安が悪化するといったリスクも高まるのです。

増え続ける空き家を止めるために

空き家が増える状態に歯止めをかけ、現在ある既存住宅の有効活用を図ろうと、2016年3月に政府が閣議決定を行い、今後10年の住宅政策の指針として、2016年~2025年度の住生活基本計画を国土交通省がとりまとめました。

住宅ストックビジネスの活性化と、既存住宅流通やリフォーム市場規模の倍増を掲げ、20兆円規模へと拡大することを成果目標としています。(2015年は11兆円でした。)

日本の住宅事情

近年マイホームを持つのが当たり前のような風潮がありますが、戦前の日本は借り家が主流でした。

今でいう市街地にあたる、商業地域や地域の中心エリアでは時代劇などにもよく登場する長屋が一般的で、入口は個々で部屋は壁で仕切られていますが、屋根が1つの今でいうアパートのような形態です。

長屋の大家さんから借りて、店子という形で暮らしていたのです。

農村部などの地方でも、地元の大地主が持っている土地を貸し与えてもらい、小さな小屋のような家を建てて住むというのが普通でした。
土地や建物は地主と呼ばれる一部の資産家だけが所有し、そこを借りて暮らすのが一般的だったのです。

しかし、戦後、敗戦の影響から国内は焼け野原となり、建物もなくなりました。
住む場所も財産も失われた状況で、経済力の衰えた地主などから少しずつ土地が解放されていき、国が戦争のために没収していた土地が住まいのない庶民へと分配されていきました。

さらに目覚ましい復興を遂げた日本は、高度経済成長期になると誰もが自分のマイホームを持てる、持ち家促進策がとられたのです。

宅地が作られて次々に宅地分譲が行われるとともに、一定のエリアに同じような住宅がキレイに建つ建売住宅などもどんどん建てられていきました。また、現在のマンションの先駆けとなる最新設備の整った団地が誕生し、憧れの的となったのです。

ですが近年、これらのマイホームの老朽化が進むだけでなく、住人の高齢化が進んでいます。

かつて花形だった団地も、高齢者ばかりの団地になってしまっているところも多いのです。

さらには、認知症になって老人ホームなどの介護施設に入所したり、亡くなられたりすることから空き家も増加の一途をたどることになりました。

政府の方向転換の必要性

このように高度経済成長期を通じてマイホームブームを推進してきた政府ですが、日本は世界でもまれに見る高齢化と少子化で人口減少が進む中、政策の大幅転換を迫られることになりました。

かつての持ち家政策が今でも影響を及ぼしており、日本では今でも自分の家を持つのが当たり前のような傾向があり、新築マンションの購入や新築で家を建てることを夢見る方が少なくありません。

一方で人口減少の影響で住宅の供給量の方が需要を上回っており、住宅ストックがかさみ続けているのです。

既存住宅市場の活性化を図る取り組み

政府としては、長持ちする高品質な住宅を建て、それをしっかりと計画的にメンテナンスしながら、長く使い、親から子供、孫と次世代へ受け継いでいける仕組みづくりが重要だと考え、既存住宅の流通市場やリフォーム市場の環境整備を進めていく取り組みを推進しています。

そのためには、中古住宅を安心して買える環境整備がまず必要となります。

現状の日本では建物は築年数の経過に伴いどんどん住宅評価価値が下がり、売主にとっては売れにくくなるとともに、買主にとっては品質が悪い上に設備も古く、購入に足踏みしてしまう状況です。

評価額が低ければ担保価値も低くなり、中古住宅は住宅ローンを使って買うのも難しくなってしまっています。

そこで、不動産業界で使われている既存住宅価格査定マニュアルの改訂を行って、適正な価値を評価できる仕組みをつくるとともに、ホームインスペクション制度の充実も目指しています。

さらに中古住宅を買ってリフォームをして住みたいという潜在ニーズを引き出すために、住宅リフォーム事業者団体登録制度も創設されました。

信頼できる取り組みを行っているリフォーム事業者が明確化されることで、中古住宅の購入者はもちろん、相続した家をリフォームして住み続けようと思う方や、都心の賃貸住宅から将来は実家に戻ってリフォームして暮らそうと考える人が増えることを見込んでいます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

新たに家を建てることなく、親から受け継いだ家や中古で買った住宅で安心して長く暮らし続けていくためには、耐震性の強化や省エネルギー化、将来に備えたバリアフリー化や、家族構成の変化やライフスタイルの変化に合わせて柔軟にリフォームしやすい構造の建物であることが求められます。

そのため、住宅リフォームの推進のための税制措置を設け、既存住宅について耐震工事や断熱工事、バリアフリー工事など一定の条件を満たす工事を行い、住宅の性能を高め持続的な活用ができるようにした場合、所得税や固定資産税などの軽減措置も講じられました。

税制優遇の支援のもとで、リフォーム市場規模の拡大を通じた経済の活性化や、国民の住生活の向上を図ることを目的としています。

また、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターを通じて住まいるダイヤルによる電話相談業務や、リフォーム業者から提示された見積りが適正かどうかをチェックしてくれるリフォーム無料見積りチェックサービスなどもスタートしました。

こうした取り組みにより適正価格で高品質なリフォームが期待できることになります。そのため安心してリフォームを決断できるようになり、リフォーム市場規模の拡大が目指せます。

既存住宅の購入時やリフォーム時に安心して決断できるよう、専門家によるホームインスペクションと瑕疵保険がセットになった保険制度も登場しました。

保険期間内に構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に欠陥・不具合が見つかった場合、保険で必要な補修を受けることができるので、安心して中古住宅の購入やリフォームができるようになります。

まとめ

少子高齢化時代における現代の日本では空き家が増大し、放置住宅の管理が問題となっています。

無駄をなくして快適に暮らしていける環境の整備のため、既存住宅を活用しながら次世代に受け継いでいけるよう、政府では中古住宅の購入促進とリフォームの市場規模拡大を目指しています。

そのための制度や仕組み、不動産会社などと連携した取り組みが推進されているので、これからの動向を見ながら、安心安全で低コストの中古住宅購入とリフォームを検討してみるのも良いでしょう。

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