着々と大きくなる中古住宅市場だが…
日本では最近になって中古住宅の市場が成長を遂げています。
国土交通省によりますと、1989年(平成元年)の時点では既存の住宅が売り買いされる割合は全体の住宅売買の内、5%ほどしかありませんでした。
1998年(平成10年)にようやく10%を超えるようになり、それが2013年(平成25年)には14%を超えました。
ここまで中古住宅市場が大きくなった理由は、やはり安い住宅を買いたいというニーズが高まったことが挙げられるでしょう。
国土が決して広いとは言えない日本にあって、新しい住宅を建てるのではなく昔の住宅をうまく活用していくのは合理的な選択と言えます。
とは言え、世界的に見れば14%という数字は決して大きくはありません。
たとえば日本と同じくらいの国土を持つイギリスではなんと88%ほどの住宅が既存住宅の再利用とされています。
アメリカでも70%以上の住宅売買が既存住宅によるものとされており、この点で日本は世界から遅れをとっていると言わざるを得ません。
もちろん一概に新築ではなく中古こそ望ましい、と言えるわけではありませんが、ここには文化的な要因だけでなく、日本の中古住宅を取り巻く問題が潜んでいると見ていいでしょう。
なぜ中古住宅に人は住みたがらないのか?

ではなぜ日本では中古住宅は売れにくいのでしょうか?
もちろんそこには真新しいものを使いたいという心理もあるでしょう。
誰しもが誰の手にも触れていないものを持っていたいものです。
しかし、それ以上に中古住宅は様々な点で不安があると感じる方が多いのではないでしょうか。
たとえば中古住宅の難点として安全性に不安がある、という点が挙げられます。
建物は当然ながら建てられてから時間が経てば徐々に傷んでいきます。
すると屋根が壊れてしまって水漏れが起こったり、壁が壊れてしまってネズミが入り込んでしまったりということが起きたりもします。
ひどい場合には基礎が崩れてしまって、ちょっとした地震で家が傾いてしまうということさえ起こりかねません。
こうした危険性は、それなりの経年劣化が進んでいる中古住宅に付きまとう問題と言えます。
また、古い住宅を購入するにあたりある程度の汚さは我慢しなければいけない、という固定観念もあります。
それを取り除くためにリフォームをするという方法もありますが、住宅の購入に費用をかけているうえにさらにリフォーム資金まで出さなければいけないとなると、躊躇してしまう人がほとんどでしょう。
また、購入時に不動産業者から十分に情報を与えられない、という問題も見逃せません。
先ほどの安全性や衛生面の問題は、事前に情報がしっかりと与えられれば十分に払拭できるケースもあるのです。
しかしながら、不動産業者は建物の状態をすべて明らかにすると細かな点で購入者が躊躇してしまわないか、ということで情報の開示を明確にしない傾向があります。
こうした悪循環によって買主の中古住宅への不信感は高まってしまうのです。
新しくできた安心R住宅って何?
国土交通省では伸び悩んでいる中古住宅市場を改善するために、新たな制度を打ち出しました。
それが安心R住宅です。

安心R住宅とは、簡単に言えば住宅購入者に対してもっと中古住宅を買ってもらうようにするサービスのことです。
Rはリユース、リフォーム、リノベーションの頭文字からとられた文字で、まさに住宅を再利用するためのサービスと言えるでしょう。
安心R住宅は中古住宅に付きまとう負のイメージを払拭することを目標としています。
安全面で購入者が安心して購入できるように、インスペクションを導入しているのが特徴です。
インスペクションとは建物に欠陥がないかを住宅の購入以前に点検できるサービスのことを指しています。
事前に点検が行われ問題がないと判断されればこの住宅は安心して住めるものである、ということで安心R住宅のロゴマークが付与されるのです。
仮に住宅に欠陥が見つかってもしっかりとリフォームが行えば、ロゴマークをもらうことができます。
もちろん、購入者に向けてロゴマークが見せられるだけではありません。
その他、点検したことを示す書類なども購入前に閲覧できるよう取り計らっているので、後からでもチェックすることが可能です。
なぜ安心R住宅の取り組みが行われている?

安心R住宅がどんなものかはわかったけれど、そもそも国土交通省はなぜ中古住宅を購入してほしいのでしょうか?
要因としては、空き家問題が挙げられます。
なぜ空き家が放置され続けているのかというと「所有者がわからなくなっている」というのも一因に挙げられますが、それ以上に「中古住宅にネガティブなイメージが付きまとっているから」と言わざるを得ません。
人が住まなくなった家は売りに出せば再利用することができます。
ですが、物の売り買いには買い手がいなくてはいけません。
住宅の所有者としては、買い手がいないからと言って二束三文で売るのは嫌だと思うのが自然でしょう。
そうして誰の手にもつかなくなった住宅(空き家)が増え、社会問題となっているのが現状なのです。
7戸に1戸が空き家
総務省の調査によると全国の空き家の件数は2013年の時点で820万戸にも及び、だいたい7戸に1戸が空き家である状態です。
更に2023年には1293万戸に上り、5戸に1戸が空き家になってしまうと予測されています。
あくまで単純な計算にはなりますが、これらの空き家がすんなりと中古住宅として提供されていたとすれば、日本の中古住宅市場はもっと大きくなっていたはずです。
単に人がいない家が増えるだけなら問題はないのでは、と思うかもしれませんが、空き家が増えると様々な問題が起きてしまいます。
たとえば虫などが湧いてしまって周辺の生活環境が悪くなってしまう恐れ、また、不法侵入者が空き家に入り浸ってしまって治安が悪くなってしまうことも予測されます。
最悪の場合、何かの拍子に火災が起きてしまい、周辺住宅に影響を及ぼしてしまうことさえありえるのです。
こうしたことを防ぐ意味でも、中古住宅の売買が促進されています。
まとめ
安心R住宅は2017年にできたばかりの新しい制度です。
それゆえ、この制度の存在を知らなかったという人もいらっしゃるでしょう。
まだまだ普及の段階に過ぎませんが、社会をよりよくしていくためには欠かせない制度と言えます。
不動産業者やこれから不動産を買おうかと迷っている人も、ぜひこうした制度の内容を理解したうえで住宅売買の参考にしてみてください。
この記事が参考になったと思ったら、いいねボタンをお願いします!
コメントを残す