家を建てる際に欠かせない土地
日本で住居を持つ際、当たり前ですが、自分で勝手に「ここは自分の家だ、自分の土地だ」と主張することはできません。まずは土地を買って自分の敷地にし、そこに家を建てる必要があるのです。
ところで、皆さんはこんな疑問を抱いたことはないでしょうか?
「土地の値段ってどうやって決まるのだろう?」
確かに、何の変哲もない空間の値段はどうやって決まるのでしょう?
たとえば駅前にある一等地の値段と郊外の土地の値段は、坪数が同じであってもかなりの差が出ます。
ではなぜそのような違いは生まれるのでしょうか?
今回はこの土地の値段が決まる仕組みや土地の値段が時期によって変わるのはなぜか、ということを学んでいきましょう。
土地の値段が決まる基準は?
土地の値段を決めるためには今まで様々な試行錯誤がありました。
「ここは自分の土地だ!」と公言すれば誰のものにでもなった時代もありますし、領地を治めている首領が決めていたこともありますが、現在の日本では土地の値段を決めるための基準を公式にしっかりと設けています。
そこで、まずは「公示価格」という基準が重要になってきます。
公示価格は国土交通省が発表する地価のおおよその目安です。
土地といっても様々な種類がありますよね?
例えば、住宅地や繁華街、工業地など全く違うタイプの場所に一律の値段を付けるわけにはいきません。
だからこそ国から調査員が派遣され、それぞれの土地を綿密に調査する必要があるのです。
調査は基本的に1月から行われ、3月頃に結果が出ます。
しかし、国が決めたものであるからといってその結果に従う必要はありません。
あくまでも公示価格は目安であって、それを大幅に超える値段や、大幅に下回る値段で取引さえしなければ問題ないのです。
都道府県ごとに決められる基準地価
公示価格を紹介しましたが、それだけではまだ土地の値段は正確に決めることができません。
面積の大きな県に比べて、面積の小さな県は土地が少なくなってしまいます。
その分土地の希少性も高くなるので、すべての県が同じ基準に基づいて土地の値段を決めるわけにはいかないのです。
だからこそ公示価格とは別に都道府県が各自調査を行って、基準地価というものを定める必要があります。
基準地価は7月ごろに調査が行われ、10月に発表されます。
調査を行うのは不動産鑑定士で、発表は自治体のホームページに掲載されます。
この基準地価と公示価格がそろってようやく大まかな土地の値段は決められるのです。
税金を支払うときに欠かせない路線価
ここまで紹介してきた公示価格と基準地価は土地の売買の目安となるものでした。
その他にも土地の値段は税金を支払うときにも定めなくてはいけません。
親から土地を相続した際は必ず税金を支払わなくてはいけませんが、その際に土地の値段が決まっていないとどれだけ税金を払えばいいかわからないのです。
そこで、その税金の目安となるのが路線価です。
主に市街地に定められる路線価は先ほどと同様、基準地価と公示価格を参考にしながら決定されます。
値段を付けるのは税務署で、毎年8月ごろに国税庁から発表されます。
税金を用意するためには必ず参考にしなければいけないので、忘れないようにチェックしておきましょう。
土地の性質が土地の値段を決める?
公示価格、基準地価、そして路線価の3つが土地の値段の基準になるのですが、あくまで目安であり、実際の市場ではその通りの値段で取引されるとは限りません。
一般的にはこの値段で取引されるべきだけど、需要が多いからもっと高めの値段で取引される、というのは市場において当たり前に行われることです。
土地も例外ではありません。
土地を売る人たちは公示価格などを参考にしながら、さらに独自の評価基準を持って土地の値段を定めることが許されています。
では、売主の人たちは公示価格以外に何をもとに土地の値段を決めているのでしょうか?
人気のある土地
一つには土地の性質が挙げられます。
たとえば、ある土地が古くから富裕層に愛されてきた場所だとしましょう。いわゆる高級住宅地などと呼ばれるような場所です。
歴史のある土地であるため、そこに住んでいるだけで周りの人からは羨望の目が向けられるとします。
土地の所有者はそうしたところに目を付けたうえで、土地のブランド価値を活かしながら土地の値段を高めに付けることができるのです。
地盤の安全性
また、最近では地盤の安定性なども評価の対象となることが多くなりました。
日本は地震大国であるため、その土地が地震に強いかどうかは見逃してはいけません。
自治体では定期的に地盤を調査して活断層マップを発表していますが、これと照らし合わせて安全な土地であると宣伝することも行われているのです。
土地の相場
その他にも土地の相場が値段を決めるということも十分にあり得ます。
頻繁に土地の売り買いが行われている地域で土地を売ろうとしたとき、何よりも参考になるのは他の土地の売値でしょう。
あの土地はこの値段で売れているから、この土地もこの値段で売れるだろう、ということができるのです。
一方で、相場が定まっていない土地も中にはあります。
たとえば宅地開発が行われたばかりの土地は、まだまだ売り買いが行われていないのでどういう値段で売っていいかわかりません。
それゆえ、それぞれの土地の値段にはばらつきが生まれやすくなります。
そしてだんだんと相場が定まってくると、あのとき買った土地が本当はもっと安く買えるはずだった、となることもあるのです。
そのため新しい土地を買う際は、よく吟味して取引を行う必要があるでしょう。
土地の値段はなぜ変動する?
ここまでは土地の値段を定めるための基準を紹介してきました。
一方で、一度定まったはずの土地の値段が上がったり、下がったりすることもよくあります。
なぜ土地の値段は変動するのでしょうか?
一つには需要が挙げられます。
土地の売り買いがよく行われている場所では、土地の希少性が高くなるのでそれに合わせて値段も上昇していきます。
昔は人口が少なかったけれど、最近になって人口が多くなってきたから住宅が多くなった、というのがこれに当てはまるでしょう。
逆に、土地の売り買いが行われない地域では値段は下がりやすいです。
売れない商品はなんとか売りに出すために値下げをしなくてはいけません。
特定の地域でそうしたことが続いていくと基準地価も下がっていきますから、土地の値段が下がってしまうのです。
まとめ
今回紹介したように土地の値段を決めるためには一つの基準だけではないのです。
国、県、そして市場関係者が一丸となって基準を設けた結果、ようやく土地の値段が決まります。
実際にこれから土地を売り出そうとする方だけでなく、土地を買おうとしている方も、視野を広くして対応する必要があるでしょう。
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