インスペクションはどれくらい日本で普及しているの?
インスペクションのことを知っている人は、どれくらいいるの?
実際にインスペクションを過去に利用し、「よく知っている」という人もいると思いますが、「聞いたことすらない」「名前は聞いたことがあるけれど、実態はよく知らない」という人が大多数だと思います。
日本での認知率
全国住宅技術品質協会の調査によると、住宅購入を考えている人でインスペクションのことを知っている人は、「聞いたことあるような気がする」という人を含めても、40%にも満たなかったのです。また、売主でも50%程度の人が知らないという結果が出ました。不動産業者となると、さすがに認知している人は増えますが、それでも「聞いたことはある」程度の人もまだまだいるのが現状です。
なので、全体的な認知率はまだまだ低いと言わざるを得ません。
それに対し、中古住宅を購入した人がインスペクションを利用したケースは全体の4割以上に上ったという報告もあります。
インスペクションを知らなくても、誰かに勧められたりなど、インスペクションの存在自体を知ってもらえれば、ほとんどの人が利用するということを示しています。
インスペクションの存在を広めることが出来れば、利用する人はもっと多くなっていくでしょうが、現状ではまだまだ周知に努めている段階と言っていいでしょう。
アメリカでの普及率
アメリカは広大な土地があり、住宅の売り買いも多く行われています。その分中古住宅市場も活発に動いています。
そんな中で中古住宅を購入するにあたって、買主が安心して家やマンションを買える仕組みを整えるのは喫緊の課題でした。
そして、90年代に入ると中古住宅の検査を行う専門家が登場するようになります。
2000年代に入るにつれて法整備も行われるようになり、州によってはインスペクションが義務化されるところも出てきました。その結果、多くの人がインスペクションを利用するようになりました。
日本では不動産業者がインスペクションを利用するよう売主や買主に促しているのが現状ですが、アメリカでは買主が自発的にインスペクションを利用するのが主流のようです。
アメリカほどの市場規模になると住宅は相当な価値になることも多いですし、自分のことは自分でするという意識が浸透している国だからこそ、と言えるかもしれません。
アメリカでは中古住宅を買う人の80%がインスペクションを利用しているというデータもあります。インスペクターの資格を持っている人も多いので、需要に対しての供給も十分に足りているのです。
アメリカでは「暮らしの中にインスペクションが溶け込んでいる」と言っても過言ではないでしょう。
なぜ日本ではインスペクションが普及していないのか
日本の住宅市場はそれなりに整っているにもかかわらず、なぜここまで認知度が低いのでしょうか?
その原因の1つは供給が需要に追い付いていない、という事実があります。
売主や買主に「インスペクションを利用させたい」いう不動産業者もいる一方で、インスペクションを行うインスペクターの数が日本ではまだまだ足りていません。
「インスペクションを利用したい」と思っても、当のインスペクターが他の現場でインスペクションを掛け持ちしており到底手が回るような状況ではない、ということも珍しくありません。
現代の日本は「リユース・リフォーム・リノベーション」の意識が芽生え出し、逆に新築信仰がうすれていく傾向にあります。中古市場はこれからもニーズが高まっていくでしょうから、一刻も早い人員の拡充が求められるでしょう。
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